「未払い残業を減らすために何か方法は無いのだろうか・・・」
「労働基準監督署(労基署)へどう対応すればいいのだろうか・・・」
「正当な理由がある場合、労基署に主張することは可能なのだろうか・・・」
未払い残業とは、残業代を払わずに残業させるサービス残業のことです。昨今では、雇用をめぐる労使紛争や、労働基準監督署による残業代不払いの是正勧告件数が急速に増えています
未払い残業で訴訟沙汰とされた場合、企業は通常支払うべき金額の2倍の金額を支払わされる可能性もあります。付加金制度といって,一種の懲罰的な制度で労働基準法上認められている特殊な制度です。
未払いが発覚すると、労働基準監督署から「是正勧告」されることになります。「是正勧告」に従って是正しなければ、書類送検となり、罰せられる可能性もあります。
この「賃金不払残業」の「是正勧告」によって、上場企業が数億円~数十億円支払ったというケースもあります。このような場合に、どのような対応をとるべきかについてお伝えさせていただきます。
(1)是正勧告とは?
労働基準監督官は、労働基準法や労働安全衛生法などの法令違反があるかどうかを調べるために会社への立ち入り調査をする権限(臨検)があります。臨検の結果、法令違反のおそれがある場合には指導票、法令違反があると判断された場合には是正勧告書が交付されます。
この「是正勧告」とは、いわば労働基準監督署による警告書のことを言います。会社経営者が従業員を雇用するときに守らなくてはならないルールが「労働基準法」です。そして、このルールに違反した場合に出されるのが、「是正勧告書」という名の警告書です。この罰則をみると「6ヶ月以下の懲役」や「30万円以下の罰金」などと示されています。
この「是正勧告」という行政指導には強制力がないため、従う必要がないようにも見えますが、「労働基準法」の中に懲役又は罰金というペナルティーがしっかりと設けられており、「是正勧告」に従って是正をしていかないと、書類送検となり、罰せられる可能性があります。
「是正勧告」に至る「労働基準監督署」の「調査」のきっかけとしては、従業員(元従業員を含む)からの申告が大きい割合を占めています。
したがって、労基署の調査も会社の労働時間管理の実態を理解した上で行われます。
(2)労働基準監督署(労基署)への対応
残念ながら、労基署が調査に入り、労基署が様々な資料を入手した後では、使用者が労基署に対して対抗する手段はほとんどありません。
しかし、労基署に提出した資料にはあらわれていないような、使用者側としてはどうしても主張したいと考える事情もあるかと思います。例えば、労基署は、パソコンのログオン、ログオフ時間を元に労働時間を計算することが多いのですが、当該労働者がパソコンでその時間まで仕事を行なっていたのかまで、実際のところはわかりません。途中で夕食を取るためにパソコンの電源をつけたまま机を離れたとも考えられるでしょう。
また、タイムカードについても、職場の親睦会等により、タイムカードの時刻が終業時刻後より相当遅くなって打刻されているようなこともあるかと思います。以上のような事情があれば、労基署に主張することも可能です。
このような場合で悩まれている方は、まず弁護士にご相談いただきたいと思います。是正勧告を受けた場合にはそれを解決するための時間と労力がかかるため、すぐに対応が必要になってきます。
また、一番いい方法は是正勧告を受けないように普段から労務管理のしっかりした会社にしておくことです。そのような企業が作れるように、お手伝いをさせていただきます。