不動産売買契約で失敗しないポイント

jutakubaibai「不動産売買契約で押さえておくべきポイントって・・・」
「不動産売買契約を締結したが、どのような契約書を作成すればいいの・・・」

不動産トラブルは非常に広い範囲に及ぶ法律問題です。その分、様々な法的解決の手段があります。中でも不動産の売主・買主間のトラブルは非常に多く、いったん契約を締結すると、簡単に解除することはできませんので、事前に契約内容を十分に確認する必要があります。

以下には、不動産売買契約で失敗しないポイントを掲載していますが、個別の契約書については、弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

(1)重要事項説明とは

 宅地建物取引業法では、宅地・建物の売買契約を行う場合、物件と取引についての重要事項の説明をしなければならないことになっています。重要事項説明とは、契約に先立ち国が認めた国家資格である宅地建物取引主任者を介して、契約の重要な要素について説明をする義務を負うことです。かかる不動産に対して、登記された権利の種類・内容などの法定の事項について説明が必要になってきます。

その際は、下記3点を押さえる必要があります。

  1. 宅地建物取引主任者は、宅地建物取引主任者証を見せなければならない
  2. 重要事項を書いた書面を交付しなければならない
  3. 重要事項説明書には、取引主任者の記名押印がなければいけない

 ですから、重要事項説明について宅建業者が事実と異なることを告げ、これを事実と誤認して契約者が契約の申し込み・承諾の意思表示をした場合は、売買契約を取り消すことができます。
 通常重要事項説明書は契約当日に交付されることが多いのですが、事前に重要事項説明書を取り寄せ、内容を精査することで、疑問に思う点があれば契約する前に納得がいくまで説明を求めるということが重要になってきます。

(2)売買契約に際しての、手付の支払いについて

 不動産売買契約を締結する場合は、不動産の重要性から契約の締結の際、手付を交付することが多く行われます。
 不動産売買契約では、契約締結時に「手付金」と呼ばれる金銭を、買い主が売り主に支払うことが一般的です。

手付金には、

  1. 証約手付
  2. 解約手付
  3. 違約手付

の3種類があります。

 不動産売買における手付は、いわゆる解約手付と推定されており、契約の相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄することによって契約が解除でき、売主は手付の倍額を支払うことによって契約解除ができます。

 また、契約が解除された場合は互いに損害賠償請求ができません。これはあくまで法律上の推定ですから、当事者でこれと異なる取り決めを行うことも可能です。そこで、手付を交付する際は売買契約書内において手付の法的性質を明記する必要があります。なお,宅建業者が売主となっている場合は、法律上、解約手付となります。
 相手方が契約の履行に着手した場合は、手付によって解除することはできなくなります。

(3)登記簿を確認する

 不動産登記とは、不動産(土地・建物)の物理的現況及び私法上の権利関係を公示することを目的とする登記です。

 売主がその不動産を所有しているのか、所有しているとしても他の共有者がいるのではないか、抵当権などの担保権が設定されているのか、を登記簿謄本で確認する必要があります。

(4)現地(不動産)を調査する

 建物を買う場合、その建物が賃貸されていても建物の借家権は登記簿謄本には表示されません。そこで、実際に建物を買った後に、その建物が賃貸されていたためにその建物を使用することができなかった、という不利益を被らないように、建物を実際に調査する必要があります。

(5)用途地域を確認する

 土地を買ってその上に建物を建てようとする場合、建物の種類・建ぺい率・容積率・高さ制限などが法律により規制される場合があります。それが都市計画法上の用途地域です。
 用途地域は、住居・商業・工業など市街地の大枠としての土地利用を定めるもので、第一種低層住居専用地域など12種類があります。用地地域は、各地方自治体で販売している都市計画図で確認することができます。

(6)申込証拠金について

 申込証拠金とは、マンションや建売住宅の分譲販売の際、購入希望者から販売業者に対し交付することのある金銭を言います。申込証拠金は不動産取引実務の中で生じてきたものであり、法律上規定のあるものではありません。そのため、申込証拠金の法的性格については争いがありますが、購入希望者の購入意思の確認と、当該希望者の申込み優先順位の確保を目的として預託される金銭であるとする考え方が有力です。

 また、申込証拠金は売買契約成立前に交付されるものであるとするのが一般的です。申込証拠金を交付する場合は、売主から預かり証の交付を受けましょう。こちらの申込証拠金は、売買契約をキャンセルした場合、返還される場合が非常に多いです。事後のトラブルを回避する観点からも、申込証拠金を交付する場合は、売主から預かり証の交付を受けることが必要です。

(7)購入した建物に欠陥(瑕疵)があった場合

 購入した建物に欠陥(瑕疵)があった場合、民法の規定に従い損害賠償請求ができ、従来は、民法上の請求として損害賠償請求および契約の目的を達成できない場合に契約を解除することができるにとどまっていました(いわゆる瑕疵担保責任)。また、この瑕疵担保責任を追及できる期間は、瑕疵の存在を知ってから1年以内に限られていました。
 しかし、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、請求できる範囲が拡大しています。

 具体的には、新築住宅の取得契約について、基本構造部分の瑕疵担保責任を、建物の完成引渡から10年間請求できるようになります。また、瑕疵担保責任の内容も、損害賠償請求・解除だけではなく、修補請求ができるようになります。
 ちなみに、品確法は平成12年4月1日以降に締結された新築住宅の取得契約(売買・請負)について適用されます。

(8)農地の売買に関する注意点

 農地を売買する場合で、買主がその農地を農地として使用する場合において、農業委員会または都道府県知事の許可が必要となってきます。また、買主が農地を農地として使用しない場合も、原則として許可が必要です。

 この農地法の許可が必要な場合において、許可よりも先に売買契約を締結しても契約は有効ですが、土地所有権は許可がなければ移転しません。そこで、農地を売買する場合は、契約書に「許可が得られなかった場合は、当然に契約を解除する」との条文を入れておく必要があります。

 個別の契約書については、弁護士にご相談ください。

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