「労働審判って一体何・・・」
「労働審判に関する申立書が届いたけれど、一体どうすればいいの・・・」
「労働審判を起こされてしまったけれど、どのように対処していけばいいか分からない・・・」
(1)労働審判とは
労働審判とは、裁判所の個別労働関係民事紛争解決のための制度です。審判官(裁判官)と審判員(民間人で労働問題に精通している者2名)の計3名(労働審判委員会)が審理主体となり、原則として3回以内の期日で、迅速、適正かつ実効的に解決することを目的として、調停による解決を試みます。
それでも、調停が成立しなかった場合においてのみ審判を行う制度で、平成18年4月に始まりました。相手方に労働審判手続への参加を強制するもので、調停や審判は裁判上の和解と同一の効力があります。
調停や審判の内容は、法に囚われずに現実的な内容となり、審判に対して当事者が異議を申立てた場合には、訴訟に移行していきます。労働審判の申立書さえしっかり作成できれば、当事者(労働者)だけで、期日に対応することもさほど難しくありません。
また、労働審判制度は、訴訟や地位保全の仮処分などにくらべ、30日程度しか使用者に反論の準備期間を与えず、3期日以内に調停成立(和解)するか否かの判断を使用者に迫るもので、使用者にとっては非常に厳しい制度といえます。
(2)労働審判の申立書が届いたら
この制度は期日3回以内で結論が出され、この3回の期日内で調停が試みられます。調停が成立しない場合においては、3回の期日内で労働審判が下されます。
労働審判法(労働審判規則)では、審判官は、労働審判の申立から40日以内に第1回期日が指定されるため、その1週間前までに反論の提出を求められます。なので、主張(反論)証拠を提出するまでに実質30日程度しか余裕がありません。
また第2回期日は第1回期日から、長くても1ヶ月程度で設けられており、第3回期日も同様ですから、仮に第3回期日を経たとしても、労働審判を申立ててから3ヶ月程度で結論が出るs ことになります。これは、通常訴訟では、判決まで約1年程度の期間が費やされるのと比べれば格段の速さといえます。従って、労働審判の申立書が届いたら直ちに弁護士に相談されることをお勧めいたします。
(3)労働審判の注意点
労働審判の際に提出する答弁書には、証拠で提出した陳述書の内容も記載し、かつ主張(反論)が具体的な証拠に裏付けられていることも示す必要があります。
(4)調停がまとまらない場合
第3回期日に、審判が口頭で告知されます。審判に対し、当事者は2週間以内に裁判所に異議を申し立てれば、労働審判はその効力を失い、申立時に遡って、地方裁判所に訴え提起があったものとみなされます。
労働審判を起こされてしまった場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談されることをお勧めいたします。